物件探し・立地選定

物件候補を増やす3社編成(地場2社+県外1社)の実践法

「候補物件が1〜2件しか出てこない」という悩みは、不動産会社の使い方を変えるだけで解決できます。店舗物件の賃貸借業務1000店舗以上の繁友健志が実践してきた”3社編成”という組み合わせ戦略を使えば、候補物件を5〜6件以上集めることも珍しくありません。この記事ではその具体的な実践法を解説します。

なぜ「3社編成」で物件候補が一気に増えるのか

候補物件を増やすには、地場不動産会社2社+県外(広域展開)の不動産会社1社という3社編成が効果的です。地場会社は地域の未公開物件や大家との人脈を持っており、地域特有の商習慣に精通しています。一方、県外の広域展開会社はSUUMOやアットホームなどのポータル掲載物件を幅広く押さえており、地場では見えていない選択肢を補完してくれます。この2つのタイプを組み合わせることで、ポータル掲載物件と未公開物件の両方を網羅的に引き出せる体制が整います。

店舗経営者倶楽部(現在会員300名超)の出店サポート事例では、3社編成を使うことで着手から2〜3週間以内に5件以上の候補物件が出揃うケースが続出しています。1社だけに依頼していたときと比べると、候補数が平均3倍以上になるという実感値があります。候補が増えれば比較交渉が生まれ、フリーレント2〜3か月の獲得や、月額賃料を相場より1〜2万円引き下げる交渉も現実的になります。

地場2社の選び方と”使い分け”のポイント

地場の不動産会社は「大手フランチャイズ系1社+独立系地元密着1社」という組み合わせが理想です。大手フランチャイズ系は情報の網羅性が高く、独立系の地元密着店は大家との長年の関係から表に出ない物件を持っていることが多い。この2タイプを同時に動かすことで、地域内の物件情報をほぼ取りこぼしなく拾えます。

重要なのは”競わせる”意識を持つことです。同じ条件書(希望面積・賃料・エリア・用途)を2社に渡し、「他社にも同じ条件で探してもらっています」と正直に伝えます。これだけで各社が積極的に動くようになります。実際に岐阜駅前でまつ毛・眉毛サロンの出店支援をした事例では、この方法で地場2社から計4件の候補が2週間で集まり、最終的に初期費用を約30万円圧縮することに成功しました。担当者のやる気と情報量は、こちらの発注姿勢で大きく変わります。

県外1社の役割と問い合わせ時の注意点

県外(広域展開)の不動産会社をあえて1社加えるのは、地場2社が”見て見ぬふり”をしている物件や、他エリアで同業種が成約した実績を持つ担当者の知見を借りるためです。特に大手のテナント専門部門や、全国に複数拠点を持つ店舗仲介専門会社は、地場会社が気づいていない「準スケルトン物件」や「貸主都合の早期入居可能物件」などを保有しているケースがあります。

問い合わせ時は「業種・想定客単価・1日来店見込み数」を具体的に伝えるのがコツです。漠然と「サロンを出したい」と伝えるよりも、「想定客単価8,000円・月間来店250名を目指す眉毛サロン、15〜25㎡・賃料10万円以内」と数字を示すと、担当者が物件の絞り込みをしやすくなり、的外れな案内が減ります。また県外会社には「地場2社と並行して探しています」と明示することで、スピーディーに動いてもらいやすくなります。

3社を同時に動かす「条件書」の作り方と全体スケジュール

3社編成を機能させる核は、統一フォーマットの条件書です。希望エリア(駅名・範囲)、面積、賃料上限、入居希望時期、業種と内装工事の概要、駐車場の要否を1枚にまとめ、3社に同時配布します。このとき「2週間後に候補をいただけますか」と期限を明示するのがポイントです。期限がないとどの会社も後回しにしがちです。

スケジュールの目安は①1週目:条件書送付+エリアの競合調査(自分で実施)、②2週目:各社から候補物件の一次提案を受ける、③3週目:内見を集中実施して2〜3件に絞り込む、④4週目:希望物件の賃料・フリーレント交渉、という流れです。店舗経営者倶楽部の会員事例では、このフローを使った出店者の多くが着手から約1か月で申込みまで進んでいます。なお、自分でもポータルサイトやSNSで週1回チェックする”2割の自力探索”を並行させることで、3社が見逃した掘り出し物を拾えることもあります。8割は不動産会社に動かせ、2割は自分でも目を光らせる—この配分が最もコスパよく物件候補を増やします。

よくある質問

Q. 3社に同時依頼すると不動産会社に嫌がられませんか?

A. 店舗仲介は媒介契約を結ばない「一般媒介」が基本のため、複数社への同時依頼は業界慣行として広く行われています。「他社にも依頼しています」と正直に伝えることで、むしろ各社が競争意識を持ち積極的に動いてくれるケースが多いです。嫌がる担当者がいたとしても、それは情報提供に消極的なサインなので別の会社に替えることをおすすめします。

Q. 県外の不動産会社はどうやって探せばよいですか?

A. 「(出店希望エリア) 店舗 仲介」で検索して上位に出てくる全国展開系のテナント専門会社に問い合わせるのが最も手軽です。また、同業種の競合他社が出店しているビルの「テナント募集」看板に掲載されている仲介会社名を調べる方法も有効です。大手チェーンが使っている仲介会社は未公開物件情報を豊富に持っている傾向があります。

Q. 候補が5件以上集まったあと、どう絞り込めばよいですか?

A. まず「競合の出店エリアと重なるか」「ターゲット顧客の動線上にあるか」の2軸で机上フィルタリングをかけます。残った物件を実際に内見し、昼・夕方・週末の3タイミングで人通りを確認します。最終的には賃料・フリーレント・原状回復条件を交渉材料にして比較するのが有効です。店舗物件の賃貸借業務1000店舗以上の経験では、フリーレント1〜2か月分を引き出せるかどうかが初期費用の差額20〜30万円に直結することが多く、複数候補があると交渉が格段にしやすくなります。

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繁友 健志

店舗情報サービス株式会社 代表取締役
/ 宅地建物取引士

大手チェーンの店舗開発業務に10年以上携わり、出店・賃料減額交渉・貸主負担修繕・撤退・立退き対応など、
店舗物件の賃貸借業務を1000店舗以上経験(すべてテナント側)。
店舗経営者を対象としたコミュニティ「店舗経営者倶楽部」を主宰し、
会員300名超・末端1000店舗超の実践者ネットワークを運営。

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