物件探し・立地選定

「物件は自分で探すな」不動産屋を巻き込む物件探しのルール

「物件が全然見つからない」「いい物件が出てこない」と悩む開業予定者の多くが、物件探しを”自分だけの仕事”にしてしまっている。店舗物件の賃貸借業務1000店舗以上の繁友健志が編み出した「ハイブリッド物件探し」では、不動産屋を上手に動かすことで候補物件を5〜6件以上引き出し、最短ルートで出店を決める。

なぜ「自分だけで探す」と候補が1〜2件しか出ないのか

物件探しを自分だけでやると、ポータルサイトに掲載されている物件しか見えない。しかし店舗向け物件のうち、実際にネット上に出回っているのは全体の3割程度にすぎない。残りの7割は不動産会社の”引き出しの中”にある未公開物件や、業者間ネットワーク(レインズ等)でのみ流通している情報だ。自分で探し続けても候補が1〜2件しか出てこないのは当然で、「この中から選ぶしかないか…」と妥協した立地で開業してしまうケースが後を絶たない。店舗経営者倶楽部(会員300名超)でも、入会前に「ポータルで2か月探し続けたが決まらなかった」という相談が非常に多い。

「8割は不動産屋に探させる」ハイブリッド方式の具体的な動かし方

繁友健志が推奨するのは「自分で探す2割+不動産屋に探させる8割」というハイブリッド方式だ。ポイントは、不動産屋に”使われる側”ではなく”使う側”になること。具体的には次のステップで動く。

まず、出店エリアを絞り込む前に競合サロン・競合店舗の出店位置をマップ上でプロットする。美容室・脱毛・ピラティスなど、ターゲット客層が近い業種が集まっているエリアが「生き残れる立地」の証拠になる。繁友が岐阜駅前でまつ毛・眉毛サロン「ケイトステージラッシュ」の出店支援を行った際も、まず競合サロンが北口エリアに集中していることを確認し、エリアを北口周辺に絞った。

次に、そのエリアに強い地場の不動産会社を3〜5社リストアップし、「○○駅北口徒歩5分以内、20〜30坪、家賃15万円以下、できれば1階」といった条件を書面やメールで送る。口頭だけでなく文字で渡すのが鉄則。これで不動産屋の担当者が社内や業者間ネットワークに流しやすくなり、未公開情報が返ってくる確率が格段に上がる。同時に「1週間以内に候補を出してほしい」と期限を切ることも重要だ。期限のない依頼は優先度が下がる。

このやり方で、ケイトステージラッシュの開業支援では依頼から約10日で候補物件が6件集まった。自分だけで探していたら「1〜2件でどうしよう」となるところが、5〜6件並べて比較できる状態になる。候補が多ければ交渉力も上がる。

不動産屋を動かす「条件の出し方」で家賃・初期費用が大きく変わる

不動産屋を動かすだけでなく、条件の出し方次第で契約内容を大幅に有利にできる。店舗物件の賃貸借業務1000店舗以上の経験から言えるのは、候補を複数持っている状態で交渉に入ることが最大の武器になるということだ。「ここしかない」という状態で交渉しても貸主側に足元を見られる。

複数物件が出そろった段階で、次の3点を必ず交渉する。①フリーレント(無償期間)の獲得、②敷金の削減、③原状回復範囲の限定だ。店舗経営者倶楽部の会員事例では、フリーレント2〜3か月を取り付けることで初期費用を30〜50万円圧縮したケースが複数ある。また家賃交渉では「同エリアに複数の候補がある」と伝えるだけで、提示家賃から月1〜2万円引きに応じてもらえるケースも珍しくない。年換算で12〜24万円の削減になる。

不動産屋をうまく動かして候補を集め、比較交渉する——この流れを作るだけで、物件探しにかける時間は半分以下になり、かつ契約条件も改善される。「物件は自分で探すな」とは、手を抜けという意味ではなく、自分の労力を”正しい場所”に使えという意味だ。競合分析とエリア絞り込みは自分でやる。物件の掘り起こしは不動産屋にやらせる。この役割分担が、開業を成功に近づける最短ルートになる。

よくある質問

Q. 不動産屋に物件探しを依頼するとき、何社に頼めばいいですか?

A. 出店エリアに強い地場の不動産会社3〜5社に並行して依頼するのが目安です。1社だけでは情報が偏りますが、多すぎると管理が大変になります。大手ポータル系と地場密着系を混ぜて依頼すると、カバーできる物件情報の幅が広がります。

Q. フリーレントは必ず交渉すべきですか?何か月が相場ですか?

A. 必ず交渉すべきです。特に空室期間が長い物件や、スケルトン渡しで内装工事が必要な物件では1〜3か月のフリーレントが取れるケースが多くあります。店舗経営者倶楽部の会員事例では、フリーレント2〜3か月を獲得して初期費用を30〜50万円削減した例が複数あります。

Q. 競合が多いエリアは避けるべきですか?

A. 逆です。今も営業を続けている競合店が集まっているエリアは、「その立地でビジネスが成立している」証拠です。競合ゼロのエリアは集客母数が少ない可能性があります。店舗物件の賃貸借業務1000店舗以上の繁友健志も「生き残っている店舗がいるエリアに出す」を基本原則としており、同業・類似業種の出店先を競合マップで確認することを推奨しています。

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