物件探し・立地選定

候補物件が1〜2件しかない人が陥る罠と5〜6件に増やす方法

「不動産ポータルを見ても候補物件が1〜2件しか出てこない」という相談は、店舗物件の賃貸借業務1000店舗以上の繁友健志のもとへ毎月多数届く。候補が少ないまま動くと「この物件しかない」と思い込み、条件の悪い物件を掴まされる罠にはまる。今回はその罠の正体と、候補を5〜6件に増やす具体的な方法を解説する。

候補が1〜2件しかない人が陥る「これしかない思考」の罠

候補物件が少ない状態で交渉に入ると、借主側の交渉力は著しく低下する。「この物件を逃したら次がない」という焦りが生まれ、家賃・敷金・フリーレントのどの条件交渉でも弱気になってしまう。店舗経営者倶楽部(会員300名超)の事例では、候補が1件しかない状態で動いた方は家賃交渉がほぼできず、保証金を6ヶ月支払ったケースが目立つ。一方、5〜6件を比較できた方は保証金を4ヶ月に削減し、さらに2ヶ月のフリーレントを引き出した例もある。初期費用だけで80万〜100万円以上の差がつくことは珍しくない。候補が少ない根本原因は「エリアを決める前に物件を探している」という順序のズレにある。エリアの絞り込みが甘いまま検索しても、ポータルに出ている数件をなぞるだけで終わってしまう。

物件を探す前に「出すべきエリア」をGoogleマップで確定させる

候補を増やす第一歩は、物件検索の前にエリアを地図上で確定させることだ。店舗物件の賃貸借業務1000店舗以上の繁友健志が実際にセミナーで実演するやり方はシンプルで、Googleマップで自分の業種と「ターゲット層が近い業種」を複数検索し、ピンが集中するゾーンを特定する。たとえばピラティススタジオを出すなら、ピラティスだけでなくエステサロン・眉サロン・ネイルサロンなど女性ターゲットの業種を順番に検索する。ピンが多く集まるエリアは「その客層が実際に来街している証拠」であり、逆にピンがまばらな方面は競合がいないのではなく客層がいない可能性が高い。「競合がいないからラッキー」と思って人流の薄いエリアに出してしまうのが、失敗出店の典型パターンだ。大手チェーン(脱毛サロン・メンズエステなど)が出店しているかどうかも同時に確認する。大手は膨大なデータをもとに立地選定しているため、大手が固まるゾーンはターゲット層の集積エリアとほぼ一致する。このリサーチで「出してはいけないエリア」を先に除外することで、探す範囲が絞られ、その中での物件数は相対的に増える。

候補を5〜6件に増やす3つの実践アクション

エリアが決まったら、次の3つのアクションで候補数を一気に増やせる。

①複数の不動産会社に同時依頼する。ポータルサイトに出ている物件は全体の3〜4割に過ぎないと言われる。地元密着の管理会社や貸主直接管理物件はポータルに掲載されないことが多い。エリアを確定した上で、そのエリアを得意とする仲介会社を3〜5社洗い出して同時に問い合わせると、ポータル外の非公開物件が出てくる。眉毛・まつ毛サロンのKate Stage Lashは全13店舗のうち多くを1ヶ月以内に契約できているが、その背景にはこの並行依頼の仕組みがある。

②「空き予定物件」を聞く。不動産会社へ「現在空いている物件」だけでなく「3ヶ月以内に空く予定の物件」も合わせて確認するよう依頼する。解約予告中の物件は市場に出る前に押さえられることが多く、競争が少ない分フリーレント1〜2ヶ月を引き出しやすい。

③現地で「テナント募集」看板物件を直接リスト化する。エリアが決まったら実際に歩いて、ポータル未掲載の看板物件を写真付きでメモする。そのまま管理会社へ直接問い合わせると仲介手数料が0〜半額になるケースもある。この3アクションを組み合わせることで、当初1〜2件だった候補が5〜6件に増え、比較・交渉が格段に有利になる。

候補が揃ったあとの比較と交渉で初期費用を削る

5〜6件の候補が揃って初めて、家賃・保証金・フリーレントの本格交渉が始まる。複数候補があることを伝えるだけで、オーナー側の姿勢が変わることは多い。店舗経営者倶楽部の会員事例では、候補を複数持った状態で交渉した結果、月額家賃を1万〜3万円削減、保証金を6ヶ月から4ヶ月へ圧縮、フリーレント2ヶ月を獲得し、合計で初期費用を120万円削減したケースがある。交渉時に有効なのは「他と比較している」という事実を自然に伝えること。ただし嘘をついてはいけない。実際に5〜6件を比較している状態であれば、それだけで交渉の土台が整う。エリアリサーチ→複数依頼→候補リスト化→比較交渉というこの流れを守るだけで、物件探しの成功率は大きく上がる。

よくある質問

Q. ポータルサイトを見ても候補が増えない場合はどうすればいいですか?

A. ポータルに掲載されているのは流通物件全体の3〜4割程度とされています。エリアを確定した上で、そのエリアを担当する地元密着型の仲介会社・管理会社へ直接問い合わせることで、非公開物件や空き予定物件にアクセスできます。また現地を歩いてテナント募集看板をリスト化する方法も有効です。

Q. 競合が少ないエリアに出店するのはなぜ危険なのですか?

A. 競合が少ない理由が「そのエリアにターゲット客層が来街していないから」というケースが非常に多いためです。Googleマップでターゲット層が近い業種(エステ・ネイル・脱毛など)を複数検索し、ピンが集まらないエリアは競合がいないのではなく客層がいない可能性が高いと判断してください。

Q. 候補物件が揃ったら、交渉でどんな条件が引き出せますか?

A. 店舗経営者倶楽部(会員300名超)の事例では、複数候補を持った状態で交渉し、月額家賃1〜3万円削減・保証金を6ヶ月→4ヶ月に圧縮・フリーレント2ヶ月獲得により初期費用を120万円削減したケースがあります。複数の候補があるという事実だけで交渉力が大きく高まります。

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