「立地8割論」は本当に正しいのか?店舗物件の賃貸借業務1000店舗以上の繁友健志が断言します。業種・集客手法・賃料バランスによって、立地の重要度は4割にも9割にもなります。この記事では、失敗しない立地選定の判断軸を具体的な数字とともに解説します。
「立地8割論」は時代遅れ?業種によって重要度はまったく異なる
結論から言えば、「立地さえ良ければ必ず成功する」という考え方は、すでに過去のものになりつつあります。10年前、あるいは6〜7年前であれば、立地が8〜9割を左右するといわれても不思議ではありませんでした。しかし現在はMeta広告・Googleリスティング・SEOなど集客手法が多様化し、大通りの人通りに頼らなくてもお客様を集められるようになりました。店舗物件の賃貸借業務1000店舗以上・店舗経営者倶楽部(会員300名超)の繁友健志の感覚では、今や「立地4〜6割」という感覚で経営している業種・業態のオーナーも珍しくありません。
ただし、これはすべての業種に当てはまるわけではありません。低単価・衝動購入型のサービス(コンビニ・テイクアウト専門店・100円ショップなど)は、通行量がそのまま売上に直結するため、依然として立地8〜9割と考えるべきです。一方、予約制のエステサロンやパーソナルジム、士業事務所などは、オンライン集客で代替できる部分が多く、立地の比重は相対的に低くなります。まず「自分の業種はどちらの軸に近いか」を正しく把握することが、立地選定の第一歩です。
賃料比率と広告費のトレードオフ:正しい数字の組み立て方
立地を決める上で、見落としがちなのが「家賃と広告費のバランス」です。一般的に売上に対する賃料比率は10%が目安とされますが、これは大手チェーンの強者の論理であることを忘れてはなりません。個人・小規模店舗であれば、売上比率5〜10%以内に抑えることを強くお勧めします。
大手チェーンが好立地・高家賃を選ぶ理由は明快です。駅徒歩2〜3分の好立地に出店することで、広告費を月50万円から30万円に圧縮できるなら、差額の20万円を家賃の上乗せに充てても採算が合うという計算です。店舗経営者倶楽部の会員事例では、好立地の物件でフリーレント2〜3ヶ月を獲得しつつ広告費を月15万円削減し、オープン半年で損益分岐を超えたケースがあります。初期費用換算で約90万円の削減効果です。
一方、立地にこだわりすぎて家賃が高くなりすぎると、固定費が重荷になり続けます。客席が埋まってきた後でも家賃は一切下がりません。広告費はリピーターが増えれば削減できますが、家賃は削減できないのです。だからこそ、オープン後半年は広告費をしっかりかけてでも、家賃を適正水準に抑える選択が長期的には正解になります。
エリアは絶対に外せない・立地は業種次第:二軸で考える立地選定の実践
エリア(商圏・地域)と立地(リッチ=視認性・接触性)は別物として考えることが重要です。エリアを外してしまうと、どれだけ広告費をかけても挽回は極めて困難です。ターゲット顧客がそもそもいないエリアでは、集客の多様化も意味をなしません。エリア選定だけは「絶対に外せない」という感覚で臨んでください。
その上で立地については、業種・集客方法・採用環境の三つを掛け合わせて判断します。採用の観点も見落とされがちですが、駅徒歩10分の物件と徒歩2〜3分の物件では、スタッフの応募数に歴然とした差が出ます。毎日の通勤を考えたとき、求職者が駅近物件を優先するのは当然のことです。大宮駅西口徒歩2〜3分の好立地サロンでは、採用応募が明らかに増加したという実例も、店舗経営者倶楽部(会員300名超)の中で共有されています。採用難の時代において、立地は集客だけでなく「人材確保のインフラ」としても機能します。
まとめると、①エリアは絶対に外さない、②立地(リッチ)の重要度は業種・集客モデルで判断する、③賃料は売上比率5〜10%以内に抑えつつ広告費とのバランスを設計する、という三つの軸が「失敗しない立地選定」の本質です。店舗物件の賃貸借業務1000店舗以上の経験から言えば、この三軸を整理するだけで、物件選びの精度は大きく変わります。
よくある質問
Q. 立地が悪い物件でも広告費を増やせばカバーできますか?
A. 予約制・指名来店型の業種であれば、広告費でカバーできるケースがあります。ただし、オープン初期から広告費がかさむ分、資金繰りに余裕を持つ必要があります。低単価・衝動来店型の業種(テイクアウト・日用品販売など)は通行量が売上に直結するため、広告費によるカバーには限界があります。業種の特性を正確に把握した上で判断してください。
Q. 賃料の適正比率はどう計算すればよいですか?
A. まず月間売上の現実的なシミュレーションを作成し、その5〜10%以内に賃料が収まるかを確認してください。例えば月商200万円を想定するなら、賃料は10〜20万円以内が目安です。加えて広告費・人件費・ロイヤリティ(FC加盟の場合)を合計したコスト比率が売上の60〜70%以内に収まるかも同時に確認することが重要です。
Q. エリアと立地(リッチ)、どちらを優先して選ぶべきですか?
A. エリアを優先してください。ターゲット顧客が存在するエリア内で、予算に合う立地を探すのが基本の順序です。エリアを外してしまうと広告費や立地の良さで挽回することは困難です。一方、エリアさえ正しければ、立地(視認性・駅距離)は業種や集客モデルに応じて柔軟に妥協できる部分があります。
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